「最高金賞」受賞!謎多き中米の小国エルサルバドル産ラムの知られざる魅力とは?

夏に飲みたいお酒の代名詞と言えば、カリブ海や中南米で主に造られるサトウキビを使用した蒸留酒「ラム」。トロピカルフルーツやミントを使ったカクテルのベースとして世界中で愛されているお酒ですが、長期熟成により味わい深さが増すお酒とも知られています。

そんな熟成ラムの中でも、今年ひと際注目を浴びた銘柄があります。それが、日本唯一にしてアジア最大級蒸留酒品評会「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2024」に出品された数々のラムの中で唯一最高金賞を獲得した「ザ・ロイヤルケーン カスクカンパニー エルサルバドル12年 2010」。

実は日本限定で発売された希少なラムなのですが、この選定を監修された東京・吉祥寺のラム専門バー「SCREW DRIVER」オーナーバーテンダー海老沢忍氏にこのラムの魅力について伺いました。

ラムを求めて世界中を旅したスペシャリスト 海老沢忍氏

吉祥寺「SCREW DRIVER」オーナーバーテンダー。ラムのコレクションは店内にあるだけで約600種を誇り、自宅をも埋め尽くす世界屈指のコレクションは実に7,000本以上。その活動はバーにとどまらず、アウトドアイベントでのBAR出店やアウトドアブランドとのコラボレーションなど、異業種との交流を通じて続々ラムファンを増やしている。

未開の小国「エルサルバドル」から届いた至極のラム

エルサルバドルという国を初めて知りました。ラム造りが盛んな国なのでしょうか。

海老沢さん

エルサルバドルはメキシコの少し南に位置する、アメリカ大陸で最も小さな国です。周辺の国同様ラムは造られていますが、日本にはほとんど輸入されていないのでまだまだ謎が多い生産地です。

そんな珍しいラムとどのようにして出会われたのですか?

海老沢さん

オランダのラムブランド「ケーンアイランド」のオーナーであるハインさんが世界中から買い付けた秘蔵の樽から一つだけ選んで日本限定で販売するというプロジェクトがあり、その選定に携わらせていただきました。

届いたサンプルはどれも珍しく高品質なものばかりでしたが、その中でもこのエルサルバドルは特別と感じました。30年以上ラムを追ってきましたが、これは本当に面白い!とにかく旨味が詰まっています。果実の枯れた甘味や茶葉、タバコ、そして複雑なスパイス。甘さも程よく渋味もあって飲み飽きない。

何千本もラムを所有しているマニアをも唸らす至極の一本なんですね。さながら熟成ワインのようにも感じます。

ラベルにこめられたメッセージ

日本限定でボトリングするにあたり、ラベルもご自身で選ばれたと聞きました。

海老沢さん

そうなんです。今まで監修させていただいたラムのラベルには和柄をよく選んでいるんですが、今回はアロハシャツにもあるような“鯉”をモチーフにしました。

実はエルサルバドルは世界一治安の悪い国のひとつで、多くの若者が犯罪組織に巻き込まれギャングとして生きていく道を選んでしまいます。国を悩ます大きな問題なんですが、全身を藍色のタトゥーで染めた若者たちがそんな状況から這い上がろうともがいている状況をこのラベルで表現しています。

和のデザインの中にそんな深い意味が込められているんですね。

ラムの未来

エルサルバドルという厳しい環境の中でもこのような素晴らしいラムが生み出されていると知り驚きの連続ですが、世界にはまだまだ知られていないラムがたくさんあるのかもと思うとワクワクしますね。

海老沢さん

海外だけでなく日本国内産のラムも増えてきていて、ウイスキーやジンのような“クラフト”ブームがラムにも訪れようとしてるのでは?と期待しています。

ウイスキーにハマった流れからラムに行きつく人も少なくないのですが、そんな方にぜひ飲んでいただきたいのがこの「ザ・ロイヤルケーン カスクカンパニー エルサルバドル 12年 2010」ですね。一般的なラムほど甘くないのでとっつきやすいですし、重苦しくなくて飲み飽きない。熟成による複雑な味わいと向き合いながらストレートでじっくりと飲みたいですね。

南国の解放感を象徴しながらも、長い歴史の中で育まれてきた製造技術が改めて注目されるお酒、ラム。来るブームを先取りして、このジャングルのような奥深いラムの世界へと足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

【店舗詳細】

店舗名SCREW DRIVER
住所東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目20-15 東永ビル 4階
電話番号0422-20-5112
営業時間月曜日-金曜日 18:00-25:00
土曜日・日曜日・祝日 16:00-25:00
定休日年末年始
喫煙