現在、空前の「サウナブーム」が起きているのがご存知でしょうか。2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」には“ととのう”がノミネートされるなど、サウナにちなんだ言葉も一般的になってきています。
そんなサウナ発祥の地・フィンランドがある北欧で、サウナとともに愛されているお酒が蒸留酒ジンを使用したカクテル。たっぷりと汗をかいた体に嬉しい成分がたっぷりのジンカクテルは、素晴らしい親和性をもっているのです。
今回は“小岩のジン研究所”こと「Bar Soutsu」の小野寺総章さんに、サウナとジンの親和性について語っていただきました。サウナの本場・北欧生まれのジンの紹介や、サウナの後に飲みたいジンカクテルのレシピも紹介。
美味しい知識を仕入れて、最高に“ととのう”サウナ&お酒ライフを楽しみましょう!
今回ジンについて教えてくれる専門家「Bar Soutsu」小野寺総章さん
プロフィール
700種類のジンを揃えるジン専門店、東京江戸川区・小岩のジン研究所「Bar Soutsu」オーナーバーテンダー。ジンの魅力をもっと広めるコミュニティ「Gin Lab Japan」も運営しており、日本でもっとジンが愛されるよう精力的に活動している。
今回お話を聞いた「Bar Soutsu」は、小岩に2017年に開業。オーナーバーテンダーである小野寺総章さんは、日本で “ジントニック” が多く飲まれているものの、ジンの銘柄ではなく作り方ばかりにフォーカスした当時のバー文化に少し疑問を持ち、もっと “銘柄” に注目したお店をやれないかと考えてこのバーを始めたと言います。
“小岩のジン研究所”というサブタイトルを付けている「Bar Soutsu」は、訪れた人が博物館やジンの森に迷い込んだような気持ちになってほしいというのがコンセプトのひとつ。店内でスワッグ(飾り)に使われるドライフラワーには、ジュニパーベリーをはじめ実際にジンの素材となる植物を使用するなど細かな遊び心があり、ジン好きにはたまらない要素が満載です!
世界中で流行中!そもそも「ジン」ってどんなお酒なの?
小野寺さん:ジンというお酒は「ジュニパーベリー(セイヨウネズの実)」を含むボタニカル(植物)を使用した蒸留酒のことです。地域によって定義は異なりますが、すごく大雑把に言ってしまえばそれだけ。だからこそ他の蒸留酒よりも自由度が高く、極端な話ベーススピリッツに泡盛やテキーラを使用しても、ジュニパーベリーを浸漬させて再蒸留することでジンと呼ばれるようになる訳です。
小野寺さん:EUではジンを「ジュニパーベリーの風味を主とする」と定義していますが、そのジュニパーベリーの規定量は決められていません。ジンに関する定義をより現代的に規定しようという運動が世界的に活発化している中、そのジンの自由度を活かしたプレミアムジンが増え続け、さまざまなグラデーションを生んでいます。
北欧でも大人気!オリンピックが広めたジン
小野寺さん:世界中で愛されているジンですが、北欧で広く愛されるようになったのは、1952年のフィンランド・ヘルシンキオリンピックが1つの大きな転機だと言われています。元々フィンランドでは厳しい禁酒法がありましたが、夏のオリンピックに際し、増加する観光客に対応して特別に製造を許可し、生まれたお酒の一種が「ロンケロ」というプレミックスカクテルでした。
小野寺さん:「ロンケロ」は一般的にジンとグレープフルーツジュースとソーダを使用する、アルコール5%前後のカクテル(レシピは後述)。地域によってはビールよりも多く飲まれている、と言われるほど北欧の地に根付いている独自のカクテルです。
小野寺さん:そんな北欧でも、自生しているボタニカルを使用した、少量生産だからこそ実現可能なこだわりの “プレミアムジン”、が多く存在します。その国ならではのボタニカルで生産される “プレミアムジン” を味わうのは、ジンの大きな楽しみ方の1つですね!
サウナとの親和性が高い!サウナ後にぴったりなお酒はジン!?
では、今回のテーマである “サウナとジンの親和性” についてはどのようなものがあるのでしょうか。
小野寺さん:サウナ発祥の地・フィンランドでは、サウナストーンに水やアロマウォーターなどをかける「ロウリュ」であったり、ドイツから広まった文化ではロウリュで発生した蒸気をスタッフが仰ぐ「アウフグース」と言った文化が存在しています。
小野寺さん:アロマウォーターはクロモジやグレープフルーツなど幅広い草根木皮が用いられ、まさしく、ジンと同じようにボタニカルを使用しています。場所によっては「ジュニパーベリー」をロウリュ用のアロマに用いたり、独自でブレンドした香りやエッセンスを楽しむアロマの文化は、ジンに通じる部分があるんです。もちろん、サウナとジンの関係はそれだけではありません。北欧では自宅のプライベートサウナで、友人とお酒を飲みながら語り合う文化があります。そこで飲まれるのはビールだけでなく「ロンケロ」などのジンドリンクも見かけられるみたいですよ!
北欧のジンを代表する1本「ヘルノ ジン」
そんな北欧を代表するのが、世界一に何度も輝くスウェーデンのジン蒸溜所『ヘルノ』。一般的には自国を代表する素材をメインに使用する “プレミアムジン” が多い中、このジンは地元産のリンゴンベリーのほか、ハンガリー産のジュニパーベリー、マダガスカル産のバニラ、ブルガリア産のコリアンダーなど、さまざまな国の優れた材料を使用している、汎用性の高い一本です。
ハンガリー産のジュニパーベリーは、他に比べて甘みが強く大粒なのが特徴。さらに北欧ならではの、強い酸味やジューシー感を与えてくれるリンゴンベリーの甘さと清涼感もあり、エネルギッシュな味わいを十分に楽しめます。
『ヘルノ』では、オーソドックスなスタイルだけでなく多様なバリエーションがあります。一番人気の「オールドトム ジン」は、アーモンドのような甘い香りのボタニカル「メドースイート」を多く使っているのが特徴。ジンは通常リコリスで甘みをつけることが多いのですが、このジンはメドースイートを多く使うことで甘やかな味わいを押し上げています。
さらに、黒いラベルが印象的な「ネイビーストレングス ジン」は、スタンダードの「ロンドン ドライ ジン」と同じレシピですが、アルコール度数57%と高く設定。加水やトニック割りをしてもボタニカルの力強さを感じられるプレミアムジンです。好みや気分に合わせて、色々な割り方を楽しむのも良さそうですね!
自身もサウナの大ファン!小野寺さんが提案するサウナ後におすすめのジンの楽しみ方
自身も大のサウナ好きだという小野寺さんのバーでは、毎週木曜の定休日に新小岩のサウナ「レインボー」の熱波師さんがサウナ後にピッタリなジンカクテルを提供しているのだそう。
小野寺さん:サウナでは、熱い温度の中で汗を流すことで塩分と水分が、そしてエネルギー消費で糖分が失われます。失った成分を欲する体は味覚が敏感になり、食べ物が美味しく感じられるようになるようです。
そんな中、エネルギー消費で甘味、クエン酸消費で酸味、ナトリウム減少で塩分に敏感になった体には、ジンの定番カクテルでもあるジントニックが相性抜群なんです!今回は、ジントニックを含めたサウナ後に楽しみたい3つの「ジンカクテル」レシピを紹介します。
ヘルノ ジントニック
材料
・ヘルノ オールドトム ジン 45ml
・トニックウォーター 100ml
・タイム&ピンクペッパーを乗せる
小野寺さん:このジントニックは、材料に柑橘類を一切使用していないのがポイント。オールドトム ジン本来のボタニカルの個性をしっかりと感じさせる飲み方です。
ジントニックにはライムなどの柑橘類を入れるのが古くからの慣習でしたが、現在のプレミアムジンは洗練されたボタニカルをより深く感じる為、柑橘類を入れずにそのまま飲んだり、ドライフルーツ等を添えるだけの飲み方が流行しているんですよ!
ロンケロ
材料
・ヘルノ オールドトム ジン 30ml
・グレープフルーツジュース 60ml
・ソーダorトニック
小野寺さん:ジンにグレープフルーツジュースとソーダを加えるというシンプルなカクテルです。フィンランドで1950年代に生まれた国民的な飲み物で、日本で例えるならレモンサワーのような感覚のライトなカクテル!缶飲料としても楽しまれています。
北欧ではプレミアムジンを用いられることも多く、こだわりのロンケロも多く登場しているようです。
ソルトレイクシティ
材料
・ヘルノ ネイビーストレングス ジン 45ml
・レモンジュース 15ml
・シュガーシロップ 10ml
・ソーダ
・ブレンドした塩 適量
小野寺さん:ジンのスタンダードカクテル「ジンフィズ」をアレンジした1杯。ソルトレイクシティは通常ジンフィズで使用する砂糖を「塩」に変えたカクテルですが、こちらは糖分を加えています。
甘味・塩味・酸味を一度に楽しめる、まさしく“サウナ上がりのカクテル” ですね!
サウナ上がりにはジンがおすすめ!サウナ×ジンでより一層整う体験を
ジンに使用されるボタニカルと、ロウリュで用いられるフレーバーウォーターの香りなど非常に親和性の高いサウナ×ジンの組み合わせ。また、各個人がそれぞれのアレンジを楽しめるといった部分も、両者の相性がいいと言われる所以なのかもしれません。
今回ご紹介した3つのカクテルは、バーだけでなくご自宅でも再現して愉しめるシンプルなレシピばかり。サウナや入浴で失われた成分を身体に取り入れ、最高の “ととのう” 体験をするためにも、ジンカクテルを試してみてはいかがでしょうか?
ヘルノジンの詳細はこちら。
店舗詳細
店舗名 | Bar Soutsu |
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住所 | 東京都江戸川区南小岩6-18-8 L号室 |
電話番号 | 03-5876-8016 |
営業時間 | 19:00-翌2:00 |
定休日 | 木曜日 |
喫煙 | 可 |